痛くしないで!~先生と始める甘い治療は胸がドキドキしかしません!~
 三嶌は言うのだ。

「僕はりりなちゃんがわからないから百合の気持ちにあんまり寄り添ってあげられないんだけど……新しい百合の一面が見れて嬉しかったけれど?」

「え?」

「当たり前だけど……百合のことまだ何にも知らないんだなぁって思ったよ」

 それは、自分もそうだと百合は心の中で思った。

「百合が僕にしようとしてくれる気持ちが嬉しかったよ。こんな可愛い格好までしてくれてね」

「あ……」

 腕を引かれて三嶌の胸の中に引き込まれる。

「りりなちゃんはどんなメイドなの?」

「喫茶店のアルバイトです」

「……」

「メイド喫茶みたいにリメイクさせてお店を改革していくんです」

「……へぇ」

 それ以上言葉が続かない三嶌の反応の悪さにオタク精神が黙ってられなくなった百合は身を乗り出して三嶌に言う。

「今度一緒に見ます? アニメ! 面白いですよ? 出てくるメニューも本当に美味しそうで、どれも食べたくなると思います」

「そうなんだ」

「マスターは基本やる気ないのに料理の腕がすごいんですよ。先生がレモンチェリーのメニューでどれが気になるか知りたいな」

 百合にまた変なスイッチが入りかけたので三嶌はその口を自分の口で塞いだ。

「んっ!」

 ヌルりと百合の口の中に熱の塊が押し込まれる。歯の裏をなぞられて舌を絡め取られる。ほんわりと香るバニラエッセンスの匂いが嗅覚を刺激してそれは脳に届くのか。無駄に唾液が溢れてきてそれを三嶌に飲み込まれた。

「メニューもいいけど、僕の食べたいものはひとつかな」

「え……」

 三嶌の言葉に百合の体は固まった。
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