痛くしないで!~先生と始める甘い治療は胸がドキドキしかしません!~
 襲ってくるような快感の波に攫われて目の前が朦朧とする百合は、自分が今どのような状況でなにをしているのかまったく掴み取れずにいた。

「はぁ、は……」

 ただ切れ切れの息を吐くくらいで、なんとか生きている……それくらいの感覚と意識だけを持っていた。

「せ、せんせ……も、むり……」

「なにが?」

 百合の全力疾走後のような声とは対称に、三嶌の声はどこか興奮したようには聞こえるもののとても冷静で乱れた感じはひとつもない。ただ吐き出される息がとてつもなく熱く、百合は自身の肌に三嶌の息が撫でられるだけで火傷しそうな熱さを体感する。

「なんか、なんか……体、びくびくするし……」

「大丈夫だよ? 気持ちいいってなってるだけだし……もっと気持ちよくなれる」

「……もっと?」

「もっと」

 とてつもない綺麗な笑顔で微笑まれるが、あまりに淡々と言われて百合は一瞬脳の奥が冷えた。

(もっと? それ無理じゃない?)

 今でこそ感覚もないほどに体が震えて息をするので精一杯なのに……そんな気持ちを抱いていたらそれは声になっていたのだろうか。三嶌がその綺麗な笑顔を崩さずに言うのだ。

「痛みが欲しいって言って覚悟を決めて来たんじゃなかったの?」

(……え?)
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