痛くしないで!~先生と始める甘い治療は胸がドキドキしかしません!~
「軽くカウンセリングをしましょうか」
ライトの上に照らされるCTを見つめる百合は絶句している。
(……気持ち悪い)
レントゲン、歯列の並ぶパノラマ写真に審美的なものはひとつもない。
まして、自分の体の見えない部分を見せられて百合はゾッとしている。
歯がズラッと並んだレントゲン写真を見ていると、あぁこれからここで治療を始めるのだなとしたくない覚悟をせざる負えない。そしてこの病院に、この医師に知られなくてもいい至極プライベートな部分を見せているのだと思うと泣きたくなってくる。
「右下の痛みと腫れ……あとかぶせが取れちゃったんですね。何か固いものでも噛みました?」
「はい、えっと、チョコレートを……」
「そう、取れたものも結構古いですね。そこから虫歯になりがちだから新しく作り直す方がいいかなと思います。一度お口の中見せてもらってもいいですか?」
三嶌の声はとても穏やかで優しい声だった。変な圧力もなくソフトでどこか甘い声で、百合はその声に無意識に聞き惚れていた。
(はっ! いやいや騙されるな、そう言って自費治療を勧めてくるかもしれない!)
百合の警戒心はそんな簡単には取れるはずがなかった。騙されるまいと頭を振りかけたと同時に座っている椅子がガッと動き出して百合の体は正直に跳ね上がった。
ライトの上に照らされるCTを見つめる百合は絶句している。
(……気持ち悪い)
レントゲン、歯列の並ぶパノラマ写真に審美的なものはひとつもない。
まして、自分の体の見えない部分を見せられて百合はゾッとしている。
歯がズラッと並んだレントゲン写真を見ていると、あぁこれからここで治療を始めるのだなとしたくない覚悟をせざる負えない。そしてこの病院に、この医師に知られなくてもいい至極プライベートな部分を見せているのだと思うと泣きたくなってくる。
「右下の痛みと腫れ……あとかぶせが取れちゃったんですね。何か固いものでも噛みました?」
「はい、えっと、チョコレートを……」
「そう、取れたものも結構古いですね。そこから虫歯になりがちだから新しく作り直す方がいいかなと思います。一度お口の中見せてもらってもいいですか?」
三嶌の声はとても穏やかで優しい声だった。変な圧力もなくソフトでどこか甘い声で、百合はその声に無意識に聞き惚れていた。
(はっ! いやいや騙されるな、そう言って自費治療を勧めてくるかもしれない!)
百合の警戒心はそんな簡単には取れるはずがなかった。騙されるまいと頭を振りかけたと同時に座っている椅子がガッと動き出して百合の体は正直に跳ね上がった。