痛くしないで!~先生と始める甘い治療は胸がドキドキしかしません!~
 ――ミツメアイナガラ……スル。

(なー! なんか変にやらしい言い方! なに? 見つめながらするって……見つめながらするってなに!)

 この瞬間、百合の中である気持ちが爆発した。

 恋愛経験のない百合は漫画や小説で無駄に妄想と知識だけを育てていた。

 百合は俗にいう腐女子である。

 現実世界のリア充を経験していないために二次元の世界でそれを楽しんでいる。年齢=処女に焦りがなくなってきているのもそれが原因かもしれない。そのせいで変なスイッチが入ると思考がすぐに二次元へ飛んでしまいがちだ。

「す、するって……なにをするんですか?」

 案の定、脳内はおかしな方向へ進みだしている。

「……診察です」

「な、なんの診察ですか?」

 もはや自分が今どこで何をしに来ているのか忘れてしまっているのだろう。すっとぼけた質問を三嶌にしていることさえ多分よくわかっていない。

「……まずは……」
 
 三嶌の続けられる言葉に百合はゴクリと息を呑んだ。
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