痛くしないで!~先生と始める甘い治療は胸がドキドキしかしません!~
一瞬固まった桃瀬だが瞬間で笑顔に切り替えた。
「……こんばんはぁ、黛様、どうされました?」
「急にごめんなさいねぇ、さっきワイヤーが外れたのか歯茎に触れちゃってぇ」
「それは大変ですね。ちょっと混みあってくるので少しお待ちいただくかと思いますけど……なるべく早く対応させていただきますね! お待ちください!」
桃瀬は対応そこそこに慌てて香苗のもとへ走った。
「先輩! やばいっす! 黛様がAOです!」
「え!? 今?」
香苗も驚いて時計を見る。
十七時二十分……タイミング的には最悪である。
「何で来たの? 先生には伝えた?」
「ワイヤーが外れたかもって。先生今一番チェアーでお話し中でまだ伝えていません」
二人で顔を見合わせた。その瞬間ピンポンと音がして二人の脳内も同時に察した。
「!!」
二人でバタバタと受付に走った。初めて見る患者に何と言わずとも双方顔を見合わせて頷きあう。
――この子に違いない!
桃瀬がまずは先陣を切って得意の受付嬢スマイルで百合を迎え入れた。
「こんばんはぁ! 診察券お持ちですかぁ?」
「……こんばんは、あの、先日は休診のところご無理を言いまして……」
そう言い差し出してきた診察券を受け取り名前を確認して香苗にアイコンタクトを送った。
笹岡百合が来院した。
時刻は予約時間五分前、理想的時間配分をしている患者だ。
予約時間を守らない患者は多いのだ。それだけで香苗と桃瀬的には好感度が上がってしまう。
「いいえ! こちらこそドクターだけの対応になって申し訳ありませんでした。その後お痛みなどどこかお変わりはなかったですか?」
「えっと……まだ少し……痛みがあります」
そう言い右下あたりを指先でそっと触れる。その言葉通りえらのあたりがふっくらと腫れているかもしれないな……、桃瀬は思いつつも視線は指先ではなく百合の顔全面を見つめている。
そして思った。
(地味じゃね?)
「……こんばんはぁ、黛様、どうされました?」
「急にごめんなさいねぇ、さっきワイヤーが外れたのか歯茎に触れちゃってぇ」
「それは大変ですね。ちょっと混みあってくるので少しお待ちいただくかと思いますけど……なるべく早く対応させていただきますね! お待ちください!」
桃瀬は対応そこそこに慌てて香苗のもとへ走った。
「先輩! やばいっす! 黛様がAOです!」
「え!? 今?」
香苗も驚いて時計を見る。
十七時二十分……タイミング的には最悪である。
「何で来たの? 先生には伝えた?」
「ワイヤーが外れたかもって。先生今一番チェアーでお話し中でまだ伝えていません」
二人で顔を見合わせた。その瞬間ピンポンと音がして二人の脳内も同時に察した。
「!!」
二人でバタバタと受付に走った。初めて見る患者に何と言わずとも双方顔を見合わせて頷きあう。
――この子に違いない!
桃瀬がまずは先陣を切って得意の受付嬢スマイルで百合を迎え入れた。
「こんばんはぁ! 診察券お持ちですかぁ?」
「……こんばんは、あの、先日は休診のところご無理を言いまして……」
そう言い差し出してきた診察券を受け取り名前を確認して香苗にアイコンタクトを送った。
笹岡百合が来院した。
時刻は予約時間五分前、理想的時間配分をしている患者だ。
予約時間を守らない患者は多いのだ。それだけで香苗と桃瀬的には好感度が上がってしまう。
「いいえ! こちらこそドクターだけの対応になって申し訳ありませんでした。その後お痛みなどどこかお変わりはなかったですか?」
「えっと……まだ少し……痛みがあります」
そう言い右下あたりを指先でそっと触れる。その言葉通りえらのあたりがふっくらと腫れているかもしれないな……、桃瀬は思いつつも視線は指先ではなく百合の顔全面を見つめている。
そして思った。
(地味じゃね?)