痛くしないで!~先生と始める甘い治療は胸がドキドキしかしません!~
 また牧野様からのクレームが頻繁に入るようになった。今度は妹の肌トラブルだという。
 花粉症で荒れだした目元に塗ったクリームが合わなくてひどい痛みを伴っているというのだ。


「大変ご迷惑をおかけしております。誠に申し訳ございません」

『パッチテストもして大丈夫だから塗ったのにって言っていたのよ? 去年も同じ商品を使っていて問題なかったのに今年すごい荒れちゃったって。どうしたらいいのかしら、お宅はどう対応してくれるわけ?』

 とりあえず責められた。
 いつものようにサンプルや商品を送れという催促とは違う。ただ文句と愚痴を当てつけたい、そんな感じのクレームだった。

『謝れって言ってるわけじゃないの。妹も辛い思いしているのよ? わかるでしょ? 目元の荒れなんか女からしたら鏡見るたびに落ち込まない? 化粧はできないし、花粉症の薬とも反応するのか発疹まで……(以下略)』


 結局四十分ほどクレームをぶつけられ、精神的に百合は疲労した。
 昼前にかかってきた電話で昼休憩も挟めず、昼抜きで仕事を再開してその日はぐったりして帰った。

 翌日も同じように牧野様から電話がかかってきた。
 送られてきたサンプルが違ったという。間違いの証明がきちんと取れてしまいまた謝る。ついでのように妹のクレームを追加され電話を切ったときに頭痛がした。

 間違いなく疲れとストレスから来ている気がした。トイレに行って鏡を見たら右下がまた腫れている。その腫れと疲れた顔を見て百合は泣きたくなってきた。

(私の人生ってこのまま謝って過ごしていくだけなのかな……)

 謝るのには慣れている……そうは言っても割り切れるばかりの人生ではない。

 誰でも疲れる、虚しくなる、嫌になったら……頑張れなくなる。
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