痛くしないで!~先生と始める甘い治療は胸がドキドキしかしません!~
「ふあ!」

 百合の間抜けな声が上がる。三嶌の手によって口を開けさせられていた。

「気持ちを待とうと思っていたけど、僕の方が待てなくなった」

 三嶌が百合の潤んだ瞳を見つめながらまっすぐに言う。

 百合はその恐ろしく整った顔に釘付けになって見つめ返していると三嶌が言った。

「死ぬ覚悟があるくらいなら大丈夫。僕が全部受け止めて今抱えている痛みをすべて取ってあげる」

「へ……」

「覚悟を決めようか?」

 有無を言わさぬような三嶌の声だった。

 百合も、隣にいる桃瀬も息を飲んだ。それくらいドスが効いていたとも言える。

「――――はい」

 百合はもはや意思をこえて返事をした。三嶌を見つめる瞳は熱に浮かされて揺れているように見える。それを横目に見つめる桃瀬は呆然として思った。

(……えーっと、え? こ、これは……つまりその……お、親知らずを抜く話? だよね?)

 心の中で誰にとなく問いかける桃瀬。もちろん誰も答えてなどくれない。

 ただこれだけはわかる。これだけは思う。

(なに!? この二人……変!)

 変なのだ。

 桃瀬もようやくそれを目の当たりにすることになった。
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