隠れ美少女とクール系男子
「それにしても、また囲まれてたなあの人。いつものことなのかな？」



　弁当と一緒に入っていたおにぎりを頬張りながら私は先ほどの出来事を思い出す。

　あの人というのは朝、職員室まで案内してくれた男子だ。相変わらずきれいな顔をこれでもかと言うほど歪めてたけど。

　でも、目の奥には恐怖心があった。うまく隠そうとしてたみたいだけど。

　私と同じ人間不信というか、人嫌いなのだろうか。

　そんな事を考えているとどこからか声がした。



「お前、何してんだ」



　後ろを振り向くと、ついさっき囲まれていた張本人がいた。



「なにって、お昼ごはん食べてるだけです」

「見ればわかる。なんでここで食べてるんだ」

「だめですか？　人がいないところで食べたかっただけです」

「つまりぼっちか？　転入初日にかわいそーだな」

「好きでこうしてるだけです。友達なんて、すぐ裏切る。なら、傷つく前に自分から離れる」

「ふーん？」



　……しまった。なんかいらないことまで話してしまった。
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