隠れ美少女とクール系男子

　そう、ここは旧校舎だ。職員室があるわけない。やはり俺に会いたいがために先回りしてきたのだろう。新学期から一ヶ月は経ったのだ。職員室くらいは覚えているだろう。



「どうせ、俺と二人きりになりたくて先回りしてきたんだろ？　嘘丸見えなんだよ」

「はい？」



　俺が問い詰めると女はきょとんとする。しかも何か失礼なことを考えてないか、こいつ……。

　どうやらこいつは、転入試験を合格し学校へ来たらしいが職員室がどこかわからなくここまで迷い込んだらしい。

　一応、話を聞きながらも転入試験って合格が不可能にも近いって聞いたことがあるな……と思っていたが、嘘はついていない様子だったので職員室に案内することにした。

　……なぜか俺と女の間に数メートル空いているが。みんな磁石みたいにくっついてくるのにこいつは逆だ。むしろ離れていく。

　いや、俺にとってはありがたいが……こういうとき、女はくっつきに行くものじゃないのか？