どうも、魔導師様に拾われた幼女です!
次の日
朝起きて、水魔法で水を出して飲む。
「おはようノア」
『おはようご主人』
ノアを少し撫でて窓から天気を見て…ってえ?
窓の外に、人影があった。
後妻…?か異母姉…?
昨日の屈辱を私に当てに来たんだろうか。
でも、それにしては影が大きい気がする。
そっと扉を開けて外に出てみると。
「っわ…!」
目の前に、男の人が立っていた。
紫のローブを羽織った、多分昨日の魔導師。
「こんにちは」
「こ、んにちは…」
昨日魔力を飛ばした記憶がよみがえり、気まずくなり挨拶を返す。
なに、大きなやり返し?
こんな幼女からの魔力に絡まれたことが、そんなにプライドを傷つけた⁉
「きみはここで暮らしてるんですか?」
魔導師の問いかけにコクリと頷く。
ここ、がこの屋敷の敷地なのかボロ屋なのか分からないけど…。
「今、きみは幸せですか?」
「…え?」
そんな質問に、言葉に詰まる。
どう考えても幸せではない、のかもしれない。
いや、でもノアがいるし…。
そのまま答えられずにいると、ふいに体がふわりと浮いた。
「…っへ?」
「きみのこともらっちゃいますね。この中に誰かいますか?」
「この中…?あ、友達がっ」
反射的に答えると、ボロ屋に入った魔導師が私を抱っこしたまま困惑気味に目を合わせてくる。
「誰もいませんが…」
「見えてないだけですっ」
一度降ろしてもらって、仔犬なノアを抱っこする。
「見えてない…?まさか、神獣ですか?ということは神の申し子…?」
あれ、ちょっと待って。
いけないフラグが立った気がするんだけど。
「…まぁいいです。ちゃんと抱っこしてますか?離したらだめですよ?」
魔導師が訊いてきて、小さく頷く。
「じゃあしっかり掴まっててくださいね」
そのままもう一度魔導師に抱っこされ、魔導師が地面を強くけり、空を飛んで…。
ちょっと待とうか⁉
私どこに連れてかれそうになってる⁉
「あ、あのっ…」
「あ、舌噛みますよ~。お口はチャックです」
指で唇と押さえられ、慌てて口をふさぐ。
「ふふ、いい子です」
魔導師は目を細めてそう言い、浮遊を続ける。
そのまましばらくお空の旅をして、王都が見えてきた。
「ぇ…」
魔導師はそのまま急降下し、ひとつの屋敷の庭に降り立つ。
「え、あ、あの、ここは…」
「私の家です。あぁ、大丈夫ですよ。なにもしません」
魔導師は家に入り、片手でローブを引っ張って脱ぎ、近くの執事さんに渡す。
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