婚約者が妹と結婚したいと言ってきたので、私は身を引こうと決めました
そして、重厚な扉が開かれ、宮殿の中からクリフが現れた。

鋼の鎧に身を包み、冷ややかな風を纏うようなその姿は、紛れもなく――国を背負う国王そのものだった。

輝かしい威厳、堂々たる足取り、鋭い眼差し。

ああ、私がかつて恋したクリフは、今ここにいる。


迷いに曇っていたあの頃ではない。

誰よりも強く、真っ直ぐに国と民を守ろうとする彼が、ようやく戻ってきたのだ。

私はその姿に、誇らしさと切なさを同時に感じた。


だが、その時だった。

「クリフ!」

慌てた声と共に、王妃セシリーが駆け寄ってきた。

頬には涙、表情には後悔と焦りが浮かんでいる。

「どうした?今更。」

クリフの声は冷たく、背を向けることさえしなかった。

「ごめんなさい……私、あなたを支えられなかった……」


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