婚約者が妹と結婚したいと言ってきたので、私は身を引こうと決めました
グレイブは真剣な瞳で私を見つめ、うんと力強く頷いた。

「帰って来たら、ワイズ家のお父上に結婚の許しを得よう。」

「えっ……」

思いがけない言葉に、胸が詰まりそうになる。

信じられないような、けれどずっと夢見ていた言葉。

「家族を作ろう。いつでも帰って来れるような場所を――一緒に。」

「グレイブ……」

言葉が出なくて、でも気持ちは溢れて。

私達は静かに、でも確かに抱きしめ合った。

彼の温もりを胸に焼きつけながら、必ず帰ってくると信じて。


三日後、私は突然ワイズ家へ呼び出された。

玄関先で待つ使用人に声をかける。

「今更、何の用?」

彼はきっぱりと言った。

「どうしてもアーリン嬢に会いたいと願い出る者がワイズ家に来ています。」






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