婚約者が妹と結婚したいと言ってきたので、私は身を引こうと決めました
「誰? 私にはそんな人、いませんけど。」

私は不審そうに眉をひそめる。

すると使用人は、声をひそめてこう言った。

「今は申し上げられません。ただ、その方は非常に高貴な方のようでございます。」

その厳格な態度に、私は胸の奥がざわついた。

どんな人物なのか、思いがけぬ訪問者に期待と不安が交錯する。

「支度をします。」

「かしこまりました。お待ちしております。」

使いの言葉を聞きながら、私は静かに身支度を整えた。

何が待ち受けているのだろう。心が波立つ。


使用人と共にワイズ家へ向かうと、玄関前には数頭の馬が並んでいた。

馬に乗る身分の者が来ていることに、私の心は自然と引き締まった。

なぜこんな高貴な方が私に会いに来るのだろう?
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