婚約者が妹と結婚したいと言ってきたので、私は身を引こうと決めました
何を伝えたいのだろう?

まさか、私が聖女だと見抜いたのかもしれない――そんな思いが頭をよぎった。


広間に入ると、父が私を迎えた。

「来たな、アーリン。」

私は父の目線をたどった。

「どなたですか?私に用がある方というのは?」

父の視線は広間の奥へ注がれている。

そこに、いるはずのない方が静かに座っていた。

「ベンジャミン王……」

その名を聞いた瞬間、胸がざわつき、言葉を失った。

まさか本当に、敵国の王がここにいるなんて——。

私の心は期待と恐怖で揺れていた。


そして、私の姿を見つけたベンジャミン王は、ゆっくりと歩み寄ってきた。

「わが友のアーリン嬢。君が国王に幽閉されていると聞き、我は兵をあげたのだ。」

その言葉に、胸が詰まった。
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