婚約者が妹と結婚したいと言ってきたので、私は身を引こうと決めました
「なるほど。」

ベンジャミン王は静かに広間を歩き回り、私を見ずに言った。

「それで?あなたは満足か?」

「えっ……?」

「自分の私利私欲で、かつての婚約者を幽閉するなど――国王にあるまじき行為だ。」

その声は低く、怒りを含んでいた。

まさか……。私は思わず息を呑む。

ベンジャミン王は、やはり本気でクリフを――撃つつもりなの?


「待って下さい、ベンジャミン王!」

私は思わず、歩を速めて彼に近づいた。堂々たる背に向かって叫ぶように言葉を投げる。

「国王は今、改心しております。私も、グレイブも、そして国民も……皆、クリフ国王に忠誠を誓っております!」

ベンジャミン王は足を止め、静かにこちらを振り返った。

その目には怒りではなく、深い疑念が宿っている。
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