婚約者が妹と結婚したいと言ってきたので、私は身を引こうと決めました
「ご無事で何よりです……」

セシリーは泣きじゃくりながら、クリフにしがみついた。

声を震わせ、必死に感情を抑えているのがわかる。

「セシリー……」

クリフもそれ以上言葉は続けず、そっと彼女の背を抱いた。

その姿に、私も胸が締めつけられる。

やがてクリフは優しく言った。

「アーリンが……私たちを導いてくれたのだ。」

その言葉に、セシリーは驚いたように私の方を見つめた。

「アーリンが……?」

そしてゆっくりと、私の元へ歩いてくる。

彼女の瞳に宿った涙は、もう悲しみではなく、悔いと感謝の色をしていた。

「ありがとう、お姉様。」

その一言だけで、私はもう何も言えなかった。

胸が熱くなり、自然と涙がこぼれる。

「セシリー……」

「愚かな妹を、どうか許して……」

私は彼女を強く抱きしめた。


かつて愛し合った姉妹の絆が、ようやく、今ここに戻ってきたのだと感じながら。
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