婚約者が妹と結婚したいと言ってきたので、私は身を引こうと決めました
そして——。人々の歓声の中、懐かしい声が私を呼んだ。

「アーリン!」

振り返ると、そこには――お父様がいた。

「お父様、いつの間に……!」

「当たり前だろ。娘の一大事だぞ。」

そう言って、力強く私を抱きしめてくれた。

ああ、このぬくもり……どれほど恋しかったことか。

「アーリン、お前を……誇りに思うよ。」

「お父様……!」

私は目頭が熱くなり、胸がいっぱいになる。

長く失われていた親子の絆が、今、静かに結び直された。


そこへ、グレイブが姿を見せる。

少し緊張した面持ちで、私たちの前に立った。

「お父上……どうか、私たちの結婚をお許し下さい!」

お父様は黙って一歩前へ出ると、グレイブの肩をがっしりと掴んだ。

「……ああ、いいだろう。」

その瞬間、グレイブの表情がぱっと晴れた。

「アーリンとの結婚を、認めるよ。」

「お父様……!」

私はもう、涙を止めることができなかった。

嬉しさと安堵、そして何より、皆が繋がったこの奇跡に——心から、泣いた。









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