婚約者が妹と結婚したいと言ってきたので、私は身を引こうと決めました
グレイブが、静かにひざまずいた。

堂々たる騎士である彼が、今はただ一人の女性のために頭を垂れる姿に、周囲がどよめく。

「アーリン・ワイズ嬢――」

真剣な眼差しで、私を見上げる彼の瞳には、愛と決意が溢れていた。

「私の妻になって下さい。」

その声はまっすぐ胸に響いた。

涙がこぼれそうになるのをこらえながら、私ははっきりと頷く。

「――はいっ!」

途端に歓声が上がった。

クリフ国王も、ベンジャミン王も、お父様も、セシリーも――皆が祝福の笑顔を浮かべている。

グレイブはゆっくりと立ち上がり、私の手を握る。

「……ありがとう。必ず幸せにします。」

「私こそ……ありがとう。」

その手のぬくもりが、これからの未来を照らしてくれるようで、私は心から笑った。


ー end -
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