婚約者が妹と結婚したいと言ってきたので、私は身を引こうと決めました
あの日から、私とグレイブは毎晩のように、私の部屋の窓の外で会うようになった。

薄暗い夜の闇の中でも、彼がそこにいることが私の心にどんなに安心をもたらすか、言葉では表せない。


「今日の騎士団はな……」

話題はいつも彼の仕事、騎士団のことばかり。

無骨なグレイブは甘い言葉など知らず、恋愛話に花を咲かせることはない。

それでも彼の声には、強さと優しさが混じっていて、私は自然と笑みがこぼれた。


「アーリン、俺がついているからな。」

そのシンプルな言葉は、まるで盾のように私を守ってくれた。

彼は続けて低い声でささやく。

「俺はお前だけに、この想いを伝えるよ。」


そんな言葉に、胸の奥がじんわりと温かくなる。

言葉は多くないけれど、その真剣さが伝わってくる。

グレイブの隣にいるだけで、私はもう一人じゃないと感じられた。


静かな夜、二人きりの時間。

窓の外の冷たい空気に包まれながら、私は確かな安心を胸に抱いていた。

これからの未来がどうなっても、彼がいれば乗り越えられると。

そんな夜が、これからも続いてほしいと願いながら。

< 14 / 125 >

この作品をシェア

pagetop