婚約者が妹と結婚したいと言ってきたので、私は身を引こうと決めました
母譲りの聖女の力が、自分の中に確かに息づいているのを感じてから、私はもう、何もせずにはいられなかった。

次々に枯れ果てた畑が息を吹き返し、村人たちの顔に笑顔が戻るたびに、私の心は温かく満たされていく。


「アーリン様、本当にありがとうございます!」

「これで今年の冬を越せます……」

そう言って頭を下げてくれる人々に、私はいつもこう返した。

「私ができることをしただけです。どうか皆さんが元気でいてくだされば、それで十分です。」


自分にできることがある。

その実感は、かつて王子に選ばれることよりも、ずっと心を震わせるものだった。

もしかすると私は、ようやく「自分のための道」を見つけたのかもしれない。


だが、地方を回りたいとグレイブに話した時、彼は一瞬きゅっと眉を寄せてから、強い口調で言った。

「一人では絶対に行かせない。俺も一緒に行く。……だから、次の長期休暇まで待ってくれ。」

少し呆れてしまったけれど、私は笑ってうなずいた。

「仕方ないわね。私の旦那様になる人だもの。危険な目に遭わせたくはないものね。」

そんなことを言いながらも、胸の奥がじんわりと温かくなっていた。

――やっぱり、私の旦那様はグレイブだけだ。
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