婚約者が妹と結婚したいと言ってきたので、私は身を引こうと決めました
グレイブの長期休暇までの間、私は近隣の村々を訪ねて回ることにした。

馬車で揺られながら、小さな集落や干からびた畑を見つけては、土に膝をつき、両手で祈るように触れた。

すると、不思議なほど自然に、土は澄み、草花が息を吹き返していく。

そのたびに、村人たちは私の手を握りしめ、何度も何度も感謝を伝えてくれる。

「ありがとう……アーリン様、本当にありがとう……」

何人もの人にそう言われるたび、私は微笑んだ。

「いいえ、ありがとうはこちらの方です。こんな私でも、誰かの力になれることが嬉しいのです。」

その夜、星空を見上げながら私は思った。


私の人生は、あの結婚式のときに終わったと思っていた。

けれど、終わったのではなく、新しい道の始まりだったのだと。

聖女として生きる道。

そして、グレイブと共に歩む未来。

この道を進んでいけば、きっと私は――本当に幸せになれる。

そんな予感がして、私はそっと、夜空に微笑みかけた。
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