婚約者が妹と結婚したいと言ってきたので、私は身を引こうと決めました
国王であるクリフは、愛人になることを拒めば濡れ衣の罪で牢屋に入れ、王妃であるセシリーは宝石に心を奪われ、民の苦しみなど見向きもしない。

私は膝を抱え、静かに思い詰めていた。

この国はもう、内側からは変えられない。ならば、外から風を吹かせるしかない。

「こうなったら、あの人に頼むしかない……」

かつてグレイブとの戦で敗れはしたものの、すべてが終わったあと、私たちを憎まず、むしろ労いの言葉をかけてくれた隣国のベンジャミン王子。

正義感が強く、民を想うその姿を、私は忘れられずにいた。

私は震える手で手紙を綴った。

「どうか、この国を救ってください。あなたの力が必要です――」

一縷の望みにすがるように、私はその手紙を封じた。

未来を変えるのは、もしかしたらこの一通の手紙かもしれないと、願いを込めて。








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