婚約者が妹と結婚したいと言ってきたので、私は身を引こうと決めました
手紙の返信は、わずか三日で私の元へ届いた。

隣国とはいえ、あまりにも早い。

私の切迫した思いを、ベンジャミン王子は感じ取ってくれたのだろう。開封する手が、自然と震える。

【親愛なる友へ
事情は理解した。
私でよければ、あなたの助けになりたい。
多くの食料をすぐに準備するのは難しいが、心を砕こう。】

その文字を読んだ瞬間、胸が詰まって息が止まりそうになった。

「親愛なる友」と――そう綴ってくれたその一文だけで、どれほど心が救われたか。

私はもう一人じゃない。

誰かが、遠く離れた場所でも私とこの国を想ってくれている。

しかも、食料まで準備しようとしてくれているなんて……ベンジャミン王子の誠実な優しさが、手紙から溢れていた。

「ベンジャミン王子……ありがとう……」

自然と頬を伝う涙を拭いながら、私は彼に深く頭を下げた。

希望の灯が、確かにともった。








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