婚約者が妹と結婚したいと言ってきたので、私は身を引こうと決めました
「情けない護衛達だな。これじゃあ、国王に何かあったら、太刀打ちできないだろう。」

グレイブの静かな嘲りに、護衛長の顔がわずかに引きつる。

次の瞬間、護衛長自らが歩み寄り、無言でグレイブの腕をつかんだ。


「何を――」

私は声を上げたが、それより早く、太い縄がグレイブの身体を巻きつけていく。

その手際の良さが憎らしくて、悔しくて、私の中で何かがちりちりと焦げた。

「グレイブは一時、牢屋に入れる。」

クリフの冷たい声が響く。その言葉に、護衛たちは一斉に「はい!」と応じ、グレイブを引いていこうとした。


「グレイブ……!」

震える声で彼の名を呼ぶ。

さっきまで、私を守るように抱いてくれた腕が、今は縄に縛られ、引き離されていく。

こんなにも短い時間だったのに――

なのに、またあなたと離れ離れになってしまうなんて!

私の手は空を掴んだまま、どうしても彼を離したくなくて、心だけが必死に彼の背中を追いかけていた。
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