年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない
彼の仕事に対するまっすぐな姿勢や、惜しみない努力を間近で見てきたからこそ、私なんかが彼の隣に立っていいのかという思いが沸き上がる。沙羅の言うように彼女の方が彼のためなのではないか。

彼ほどの人にふさわしい妻になれる自信などない。今までも沙羅は役に立つのだから、奪われても仕方がない。そう思っていた。でも、今はそれを認めたくない気持ちも沸き上がったのだ。

こんなふうに悩んでいたところで、一日は容赦なく終わっていくし時間は待ってはくれない。
「よし……」
小さく声を出し、私はもう一度ベッドから身体を起こした。

まだまだ片付けるべき荷物は山ほどある。頭の中のモヤモヤは消えないけれど、少しずつでも前に進むしかない、そう自分に言い聞かせるしかなかった。


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