年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない

エントランスに降り立つと、コンシェルジュの女性が当たり前のように挨拶をしてくれた。
この間、案内を受けたときはあまり意識していなかったが、改めて見ると、セキュリティがいくつも設けられたこのレジデンスは、やはりすごいと実感する。

共用のジムにプール、ラウンジまで完備されていて、どれも私にはもったいないほどの設備だった。
「失礼します」
小さく呟きながら、誰もいない家の玄関で靴を脱ぎ、丁寧に揃える。

鷹野君と見学に来たのは、ついこの間のことだったはずだ。しかし、あのときよりも必要なものがきちんと揃っている。

収納の中には最新式の掃除機や掃除道具が整然と収められ、冷蔵庫にはすでに当面の食材が揃っていた。
さらに、パントリーには米やミネラルウォーター、保存食などがきちんと並べられ、ここでの生活がすぐにでも始められる状態になっていた。

至れり尽くせりの準備に申し訳なさを感じたものの、きっと鷹野君にそう伝えたところで、「お義母様のためにやらせておいて」と軽く笑われるだけだろう。

そう思うと、素直にありがたく使わせてもらうことにした。
キッチンをひととおり確認した後、彼が「私の部屋に」と提案してくれた部屋へ向かう。
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