年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない
「なんでも作れそうだね……」
思わず呟きながら奥に目を向けると、ひき肉のパックが目に入る。なるべく早く消費したほうがいいだろう。
そう考えた私は、ハンバーグを作ることに決めた。

手洗いを済ませ、玉ねぎをまな板に乗せ、手際よくみじん切りにしていく。フライパンにバターを溶かし、ゆっくりと炒めると、キッチンいっぱいに甘い香りが広がった。

そのとき、リビングの方から近づいてくる足音がした。ふと振り返ると、奏多君がカウンター越しにこちらを見ていた。
「いいにおい。夕飯はなに?」
「ハンバーグ。食べられる?」
他のメニューも考えたが、好き嫌いもまだわからない今は無難なものがいい。新人研修のとき、彼が昼にハンバーグランチを食べていたのを思い出した。

だから、嫌いではないはず――そう考えながら、じっくり炒めた玉ねぎをバットに移す。

「好きだけど、手作りなんて何年ぶりだろう。家ではほとんどテイクアウトだから、自分で作ることはない。たまに機内食で食べるくらいかな」

確かに機内食ではよく出るメニューだし、一人暮らしの男性ならあまり作らないのかもしれない。そんなことを考えながら、ふと気になって尋ねた。
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