年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない
それだけのことなのに、不意を突かれたように心臓が跳ねた。
気を抜けば表情に出てしまいそうで、私は慌てて視線を落とし、サラダの準備に意識を向ける。
レタスを洗い、トマトを切り、盛り付けのために棚の上のボウルに手を伸ばしたものの、指先がわずかに触れるだけで、どうしても届かない。
「あれ……」
小さく呟いたその瞬間、横からすっと腕が伸び、迷いのない動きでボウルを取る気配がした。
驚いて振り向くと、奏多君がそれを私の前に差し出していた。
「これでいい?」
低めの声が落ち着いた響きを帯びていて、不思議と耳に心地よい。
差し出されたボウルを受け取りながら、ふと彼の腕に視線を奪われる。