年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない


それからの日々は、驚くほど順調だった。もちろん、奏多君と私の勤務時間が合わず、顔を合わせない日も多い。しかし、彼は行く先々で見た美しい景色や、食べたものの写真を送ってきてくれる。

それがとてもうれしかった。「いつか一緒に行けるかな」――そんな淡い期待を抱いてしまう。
「望海、なにをニヤニヤしてるの?」

更衣室のロッカーを開けたまま、スマホに送られた写真を見ていた私は、不意に聞こえた声に驚いて振り返った。
「芽衣、驚かせないでよ」
「なにもしてないじゃない」
確かに、ただ声をかけられただけなのだが、奏多君からの写真を見ていた私は、ついドキッとしてしまった。

「今日はこっちで仕事だったの。 どう? 食事でも行こうよ」

今週の奏多君は、長距離フライトで一週間ほど不在だ。彼が帰ってくるまでには、まだ三日ほどある。
寂しいな……。そこまで思って、私は小さく息を吐いた。
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