年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない
「沙羅……」
冷静に返そうとしたが、沙羅はすぐに言葉を重ねる。
「お父様も言ってたわよ。どんな汚い手を使ってもいいって伝えたって。もしかしてなにか弱みでも握ったの? そうじゃなければ、姉さんなんかと結婚しなかったわよね。あの奏多さんが」
挑発するような笑みを浮かべながら、沙羅は一歩近づいてくる。
「だって、誰だって若くてかわいい子のほうがいいでしょう?」
「そんなこと、彼に聞かないとわからないわ」
そう返しながらも、内心では胸の奥がざわついた。確かに私たちの結婚は政略的なものだった。でも、奏多君は本当に優しくしてくれているし、形だけの関係では終わらせようとしていないと最近では思えている。
私が反論したのが面白くなかったのか、沙羅の表情がわずかに歪む。しかし、沙羅はすぐにクスリと笑った。
「あんたなんかじゃ、絶対に〝女〟として見てもらえないわ」
「……っ」
思わず視線を落とすと、その反応が沙羅に伝わったのだろう。彼女は唇を歪め、耳元で囁くように言った。
「やっぱり、ただの表面的な夫婦関係なのね」
その言葉に、理屈では割り切れるはずなのに、胸の奥のどこかがじんと冷たくなる。