年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない
驚いて目を見開く。なにが起こったのか理解するよりも先に、激しく奪われるような口づけに思考がかき消されていく。
この間のキスが、いかに優しいものだったのか、そのことを、今さらながら思い知らされる。
呼吸すらままならず、空気を求めて唇をわずかに開いたその瞬間、奏多君の熱い舌が迷いなく滑り込んでくる。驚いて縮こまるように固まっていた私の舌を見つけると、絡め取るように深く侵食してきた。唇の端から、どちらのものかわからない唾液がゆっくりと伝う。
「望海はなにもわかってない」
キスの合間に、低く、震えるほどの熱を帯びた声が耳元に落ちる。
次の瞬間、ふわりと身体が浮き、抱き上げられたことに気づいた。驚く間もなく視界が揺れ、気づけばベッドへと運ばれていた。奏多君の腕の中で、早鐘のように打つ心臓の音がひときわ大きく響いていた。
押し倒された私は、驚きすぎて声すら出せず、ただされるがままになっていた。
奏多君の手が私の手首を押さえつけ、身動きが取れなくなる。しかし、力で押さえ込んでいるわけではなく、おそらくいつでもこの手を振り払えるくらいの力だ。
それでも、私は動けなかった。ただ、自分の心臓の音だけが耳に響く。奏多君は俯いていて、その表情はよく見えない。だが、静かに肩が上下しているように見えた。