年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない
私があんなことを言ったから、怒ってしまったのだろうか。八つ当たりのような言葉をぶつけてしまったから。
謝らなければ。
そう思うものの、喉がカラカラで声が出ない。奏多君に申し訳なくて、涙が零れそうになる。
そのとき、地を這うような声が聞こえた。
「俺がどれだけ望海に触れたかったか、どれだけ我慢していたか……」
彼の言葉の意味がすぐにはわからず、考えようと顔を上げた瞬間、奏多君と視線がぶつかった。普段の穏やかで優しいまなざしとはまるで違うそこには、はっきりとした熱が宿っていた。
「今止めないと、俺はもうやめられない。早く拒否しろ」
冷静そうに聞こえるが、その表情は苦痛にも見える。なにかに耐えているようだった。
「早く、俺を突き飛ばしてここから出ていけって言えばいい」
そう言われて私が出した答えはひとつ。このまま彼の腕の中にいたい。それだけだった。
今、私は奏多君を求めていて、女性としての自分を意識している。初めてこんなにも好きになったのは、目の前にいる彼以外の誰でもない。だからこそ、初めては彼がいい。