年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない

あの夜から、私たちは一緒の寝室で眠るようになった。

当たり前のように身体を重ねるようになり、本当に愛されていると勘違いするほど甘い時間だ。
昨日は久しぶりに奏多君が帰ってきたこともあり、少しだけ遅くまで起きてしまっていて、私はあくびをかみ殺す。

今日はファーストクラス専用ラウンジ担当ということもあり、お客様のおもてなしがメインだ。眠そうな顔などできない。そう思いながら、ラウンジのカウンターへと向かった。

ラウンジの扉をくぐると、落ち着いた照明と洗練されたインテリアが広がっている。上質なカーペットが敷かれたフロアには、深い色合いのソファやテーブルが配置され、どの席にもゆったりとした空間が確保されている。

大きな窓の向こうには滑走路が広がり、機体が静かに移動していくのが見えた。奥にはダイニングエリアがあり、シェフが腕を振るうオープンキッチンのカウンターでは、温かい料理が提供されている。バーカウンターには、シャンパンやワインのボトルが美しく並べられ、グラスに注がれる音が心地よく響いていた。

そのとき、入口付近で少し迷っている様子の初老の婦人が目に入った。
深いネイビーの品のあるワンピースに、パールのネックレスを合わせた女性。姿勢がよく、気品が漂っているが、どこか不安そうに周囲を見渡している。
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