年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない


私はすぐにそばへ向かい、穏やかな笑みを浮かべながら声をかけた。

「本日ご出発のお客様でしょうか。お手伝いできることがあれば、お申し付けください」
婦人は少しホッとしたように頷くと、優しく微笑んだ。

「ありがとうございます。実はこのラウンジを利用するのは初めてで……どこに座ればいいのか、少し迷ってしまって」

「ご安心ください。窓側のお席がお好みでしょうか、それとも少し落ち着いた場所がよろしいでしょうか?」
「落ち着いた席でお願い」

私はすぐにラウンジの奥の、静かなコーナーへと案内した。ゆったりとしたソファとサイドテーブルが配置され、読書を楽しむのにも適した空間だ。

「こちらはいかがでしょうか。周囲の音も控えめで、ゆっくりお過ごしいただけるかと思います」
「まあ……とても素敵な席。ありがとう」
優雅な仕草で席に腰を下ろした婦人は、ふと私の名札に目を向けた。
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