年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない
「お前は昔から我慢しすぎだ。俺がいないと、お前はダメだろ?」
まるで決めつけるような言葉に、私は戸惑いながら兄さまを見つめた。
「征爾兄さま……どうしたんですか?」
いつも冷静で、私のことを遠くから見守るだけだった兄さまが、こんなふうに感情を露わにするなんて。そのとき、不意にドアが開いた。
「失礼します」
入ってきたのは、数人の客室乗務員の女性たちだった。私たちの様子を見て、一瞬驚いたように目を丸くした後、「すみません!」と声をそろえて謝り、そそくさと部屋を出ていく。
「あの、違う……」
絶対に誤解をされた――。咄嗟にそう思ったものの、すでに遅い。
「征爾兄さま、私は大丈夫だから。心配しないで」
それだけを言い残し、私は兄さまの手をそっとほどいて会議室を出た。
廊下に出ると、さっきの客室乗務員たちが小声でなにかを話しているのが聞こえてくる。おそらく、さっきの状況を見て勘ぐっているのだろう。
ここでどんなことを言っても無駄だ。