年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない
「疲れた?」
「そうかも……少し忙しくて」
とりあえずそう答えて、ごまかすように笑みを浮かべる。
「大丈夫か? 俺、また明日からヨーロッパだけど……体調が悪ければ母さんに言って、誰か来てもらえよ」
「うん。ありがとう」
奏多君のお母さま――今では、実の母よりも母親らしい存在になった人。
最近は体調も安定していて、私のことを本当の娘のように接してくれる。そして週の数日来てくれている、鷹野家の家政婦さんともすっかり打ち解け、みんなが私を気にかけてくれることが心からうれしかった。
今までの生活では考えられないほど、穏やかで幸せな時間。これがずっと続けばいい。そう願わずにはいられなかった。
「何日ぐらい?」
「ヨーロッパを回るから、戻りは六日後かな」
またその期間離れるのは寂しいし、本当は話もしたい。しかし、飛行前に心配もさせたくない。
「気をつけて行ってきてね」
笑顔でそう伝えると、奏多君も微笑みながら頷いた。