年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない


Side 奏多

「これにします」
仕事の合間、俺はパリのヴァンドーム広場にいた。

成田からのフライトを終え、二十四時間のレイオーバー中。明日はデッドヘッドでロンドンへ向かい、一日ほどの休息を挟んで成田に戻る予定だ。限られた時間の中で、望海へのジュエリーを選びたかった。

この広場に並ぶのは、格式あるショップばかりだ。望海に送るジュエリーを見に来た俺は、目に留まったひとつの店の扉を押した。店内は緩やかなジャズが流れ、天井のシャンデリアが柔らかな光を落としている。スーツ姿の店員が近づき、流れるようなフランス語で話しかける。

「なにかお探しですか?」
「少し見せていただけますか?」
穏やかにそう告げ、ガラスケースを覗き込む。並んでいるのはどれも品のあるデザインの指輪ばかりだったが、その中でひとつだけ目を引くものがあった。
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