年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない
細身のリングにダイヤがひと粒、その隣で小さなダイヤが寄り添うように輝いている。派手さはないが、指にすっと馴染むような上品な美しさがあり、芯が強く思いやりのある望海に似合う気がした。
「これを」
顔を上げると店員が微かに頷き、静かにガラスケースの鍵を外し、白い手袋に包まれた指先がリングをそっとつまみ上げた。慎重にトレイへと置かれた瞬間、光を受けたダイヤが一瞬きらめく。
「どうぞ、ご覧ください」
俺は手を伸ばし、リングをそっと指に乗せる。彼女がこの指輪を受け取ったとき、どんな顔をするだろう。
あの日、望海が俺との夜を望んでくれたときのことを思い出すと、心臓の奥がじわりと熱を持つ。大切にしたくて、守りたくて、ずっと距離をとっていたけれど、もう我慢する理由はない。
今になれば、政略結婚を持ちかけた望海の父親にも感謝しかない。最近の話では、彼は部下や社員からのパワハラや職務放棄で立場が危うくなっているらしい。望海にしていたことを考えれば、自業自得とも思えるが、LATスカイについては会社内で正しい方向へ進んでいきそうだ。