年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない


「怖かった」
「うん」
「本当は、仕事も全部投げ出したかった」
「うん」
「でも、できなかった」
「さすが望海」

私がぽつぽつと吐き出す愚痴にも近い思いを、奏多くんはただ黙って聞いてくれている。
「沙羅より先に私が心配したかった。みんなから、奏多くんが沙羅と結婚するとか、征爾兄さまと私が結婚するとか、そんな噂も否定したい」
「俺もしたいよ」
「私が奏多くんの奥さんなんだよ」
「そうだよ。一番大切な俺の奥さんだよ」
子どもをあやすように、奏多くんは私の髪をなでて、背中をポンポンと叩いてくれる。
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