年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない
「奏多さん、ごめんなさい。私の方が未来の社長夫人として役に立てると思うんです。姉は……なにもできないでしょう?」
ざわめく会場。その中から、誰かが声を上げた。
「若林さんが“役に立たない”って?」
「そうよ、若林さんほど仕事ができる人はいないわ。むしろ、あなたは社長の後ろにいただけじゃない?」
私のことを口々に肯定してくれる声。
その言葉に、胸の奥が温かくなった。今まで積み重ねてきた仕事の時間が、たしかに誰かに届いていたのだ。
そこへ、静かに歩み寄るひとりの女性の姿があった。
「これではっきりしましたね」
気品ある和服姿のご婦人。
以前、VIPラウンジでご案内したあの方。私は驚きに目を見開いた。
「あなたが“役に立たない”の。彼女が“役に立つ”のよ」
「会長……」
その方は、この会社の会長だった。
優雅な笑顔を浮かべたまま、沙羅に近づく。