年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない
そんなときだった――。
「鷹野、若林さん」
聞き覚えのある声。
振り返ると、そこに征爾兄さまの姿があった。
「沙羅の話を鵜呑みにして、二人に迷惑をかけてしまって……本当に申し訳なかった」
深く頭を下げる兄さまを、奏多くんが慌てて制止した。
「やめてください。木村機長は、望海を心配してくださっただけですよね?」
征爾兄さまは少し苦笑しながら、私に視線を向ける。
「もう……小さいころの望海じゃないんだな。ちゃんと大人になってたのに、俺は……悪かった」
「ずっと守ってくれてありがとう。もう、私は大丈夫だから」
そう言うと、征爾兄さまは何度か頷き、ふっと天を仰いだ。