年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない
「俺も、結婚したくなったわ」
「結婚は、いいよ」
私が照れながら奏多くんに視線を向けると、征爾兄さまは懐かしい笑い声を上げた。それは、幼い頃のあの優しい兄の笑顔だった。
「鷹野、御曹司だとしても……俺は甘くないぞ。もっともっと腕を磨けよ」
「はい」
奏多くんは真剣な眼差しで頷いた。
「幸せに」
その一言に、心の底から願うようなあたたかさが込められていた。
沙羅や父との和解は、すぐには難しいかもしれない。でも、きっと、誰もが自分のやり方で“幸せ”を探しているのだと思う。
笑顔の社員たちの姿を見渡しながら、私は静かにそう感じていた。
「望海、ゆっくり進んでいこう」
「そうだね」
私は穏やかに頷き、彼と手を取り合って――これからの未来を歩き出した。


