年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない
しかし今は——。

すっかり立場が逆転してしまった気がする。
敬語をやめてほしいと伝えられても、軽々しくそんな言葉遣いはできなかった。

「あのときとは違います。今は立派な機長になられました。それを言うなら、私に敬語は必要ありません」

そう返すと、彼は一瞬視線を落とし、なにかを思案するように沈黙する。
そして、再び私を見据えた。

「でも……やっぱり若林さんは、年上であり先輩です。せめて、プライベートでは敬語をやめてもらえませんか?」
「それは……」
 
ためらいながらも答えかけた私の視線の先で、彼の瞳は、あのころと同じように、絶対に譲らないという強さを宿していた。
「……わかった。それなら、鷹野機長も敬語じゃなくていいから」

そう伝えると、彼は少し肩の力を抜いたように笑って、「それはおいおい」と小さく返してきた。

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