年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない
それにしても彼は〝プライベートでは〟とそう言った。それは今日以外にも会う機会があるということだろうか。彼も見合いの話を知っている? そんなことを思っていると、すっかり自分でも言ったことを忘れていた話を鷹野君が口にした。

「家に帰りたくないのはなぜですか? 実家ですよね?」
私が食べていた胡麻豆腐を女将さんに頼みながら、鷹野君は何気なくそう口にした。

「あの、えーっと、どこまで知ってるの?」
どうしても敬語になりそうで、私は言い直した。

いろいろな話をしたが、実家暮らしということを、昔彼に話したことはないはずだ。それに、社長の娘ということが露呈しないように、ほとんど誰にもその手の話は避けてきた。
 
実家暮らしということを知っているとなれば、私がLATスカイの社長令嬢であることも、そして見合いの話も知っているのかもしれない。

「若林さんが俺の見合い相手ってことくらいは知ってます」
やっぱり。予想していたことが当たって、私は隠そうとしたため息が零れ落ちた。
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