年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない

「知ってたの……」
「そういう若林さんも、知ってたんですね」
そんな動揺する私をよそに、まっすぐな瞳で私を見つめる彼は、なにを考えているのかまったくわからない。その目に引き込まれるような気がして、思わず視線を逸らした。

「私は昨日、父から聞いたの。たぶん無理を言ったんだと思う。ごめんなさい」
「どうして若林さんが謝るんですか?」

「どうしてって、父が勝手に決めたことだから……。鷹野機長は、見合いをしたいわけじゃないでしょう?」
自分で口にしたひとことの重みが、思いのほか胸にのしかかる。

したくもない見合いを強要されている人と一緒にいる。そう考えた瞬間、いたたまれなくなってしまう。
申し訳なさでいっぱいになり、なにをどう伝えればいいのかわからなくなった私の前で、鷹野君はグラスを軽く傾け、ふっと息を吐いた。
「機長はやめてもらえますか?」
「え?」
 
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