年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない
予想していた返答とはあまりにも違い、思考が一瞬止まりながらも私は顔を上げた。
「ここで『機長』はちょっと」
見合いの話が続くのだと思っていたのに、思わぬ方向に話題が逸れたことに、私は少し戸惑ってしまった。
昔は「鷹野君」と呼んでいた。でも今は、鷹野機長と呼ぶのが当たり前だ。
けれど、確かにここは店の中で、周囲には他の客もいる。役職で呼ぶのはあまりにも堅苦しく、場違いに聞こえてしまうのかもしれない。
「……わかった」
そう答えると、鷹野君は少し思案するように視線を落とし、それからまたまっすぐに私を見据えた。
「で、さっきの話の続きですが。どうして俺が、見合いをしたくないはずだって思ったんですか?」
あまりにもストレートに問われて、一瞬、どう答えればいいのかわからなくなる。それでも、言葉を選びながらなんとか口を開いた。
「鷹野……君は、お母様からたくさん見合いを勧められて、それをずっと断り続けてるって……聞いたことがあって」
「なんか俺、ろくでもない男みたいですね」
肩を揺らしながら笑う彼に、今の説明は確かにそう聞こえるかもしれないと気づき、私は慌てて首を振る。