年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない
「……御曹司だから最年少で機長になれたんじゃないかって、言わないんですね」
さらりと口にされたその言葉に、思わずムッとして、私はつい先輩風を吹かせてしまう。
「そんなわけないでしょ。仕事を、そんなふうに軽く見ない!」
少し強い口調になったことに気づいて、私は慌てて口をつぐんだ。
そんな私を見ながら、鷹野君は屈託のない笑みを浮かべた。
「昔も言われたな、懐かしい」
敬語でもなく、私に向かってというわけでもなさそうに、ぽつりとそう呟くと、彼はふと私の顔を覗き込んできた。
どうしてそんな行動をしたのか、正直、私にはわからなかった。けれど、不意に間近に現れた切れ長の瞳と整った顔立ちに、思わず息が詰まりそうになる。
どきりと胸が跳ねたのを、自分でもはっきりと自覚してしまった。
「えっと……言いたいことは、私からは断れないから、鷹野君から断ってほしいの」
どう言えば伝わるのかわからなくて、言葉を選びながら、やっとの思いで口にした。
私がどれだけ父に逆らったとしても、きっと聞き入れてはもらえない。
だったらせめて、鷹野君に余計な迷惑をかけないためにも、これが最善の方法だと思った。
彼が短く瞬きをして、それからなにかを言おうと口を開いた――そのときだった。