年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない

「フランス帰りだし、疲れてるからって断ったんですけど、たまにはいかないとコミュニケーションが取れないから来ただけなので」
そう言いながら、彼はスマホを出すと誰かにメッセージを打っているようだった。

「これでOK。久しぶりのアルコールで酔ったから帰ったことにしておきました」
クスっと笑って、鷹野君は頭の上に手をグッと伸ばした。国際線のフライトだったのなら、私なんかよりずっと疲れているはずだ。
「早く帰って休んで。付き合わせてごめん」

本当は、先ほど話した、見合いを彼から断ってくれとお願いした件の返事も聞きたかった。しかし、これ以上私に付き合わせるのは申し訳ない。そう考えて私は店の前で足を止めた。

鷹野君もここでタクシーを呼ぶのだろうと思っていたのに、彼はなんの迷いもなく歩き出し、そのまま駅の方向へ向かっていく。少し驚きつつも、とりあえず彼のあとを追いかける。
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