年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない
「でも、鷹野機長と話せてよかったわね。姉さんじゃ、一生話す機会もなかったでしょう?」
その内容に、父が反応して立ち上がった。
「望海、まだなにか用事があるのか?! 早く部屋に戻れ」
沙羅の言葉を遮るように、声を荒らげる。やはり、彼女にはなにも話していないのだろう。すぐにわかる話なのに、どうするつもりなのか。別に、沙羅が鷹野機長と見合いすればいいのに。
一瞬、そんな考えがよぎるが、すぐに思い直す。父がそれを許さないのは、わかりきっていた。
ずっと父のそばで仕事をしてきた沙羅は、きっと誰よりも会社の内情を知っている。他人ではなく、身内だからこそ許されることもあるのだろう。
『沙羅は会社にとって重要な存在だ。だが、お前は違う。せめて結婚くらい、家の役に立て』
過去に浴びせられた言葉が蘇り、ため息を飲み込む。これ以上この二人と話すことなどない。そう思うと、私は無言のままリビングをあとにした。