年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない
部屋に戻った途端、むわっとした熱気がまとわりつく。北向きなうえに窓も小さいこの部屋は、夏はじっとりとした湿気が抜けず、窓を開けてもほとんど風すら入ってこない。
電源を入れると、ピッという無機質なやけに大きく音が響いたが、すぐに涼しくなるわけもない。
私はため息を吐きながら、ベッドへ倒れ込んだ。なんで、どうして私ばっかり。枕に顔をうずめ、そう思わずにはいられなかった。
どれだけ努力しても認められず、結局「役に立たないなら結婚しろ」と命じられる。沙羅はずっと父に必要とされているのに、私はそうではない。最初から、いらない存在だったのかもしれない。
私を本当に必要としてくれる人なんて、この世にいるのだろうか。
私はこの先もずっと、変わらない世界で生きていくのだろうか。ごろりと仰向けになって天井を見上げて、泣きたくなるのを耐え続けた。